安全・輸送品質へのこだわり。
「達成感」が好循環を生む
東日本急行株式会社
代表取締役社長 陣場留夫様
「省燃費運転は、安全につながる運転である」と陣場社長は語る。2001年に先代が急逝。経営を託された陣場社長は、「輸送品質」について徹底的に見直しを推し進める。そのなかで現副社長の提案で、2004年にエコドライブナビゲーションシステムを試験導入した。
リアルタイムナビゲーションによる燃費の削減効果
MHS-03DTは、常に変化する走行環境をデータで把握し、理想的な省燃費運転をリアルタイムでナビゲート。「試験導入を始めた途端に燃費が改善され、事故も目に見えて減少しました。我々が目指す輸送品質実現への期待が、データを見ていくうちに、確信に変わりました。」
この結果を受け、翌年から全車導入を開始した。すると、燃費が向上するとともに、その年を境に事故件数が大幅に減少した。
「トラックの保険料も最大割引になり、保険会社にもこんなに劇的に変わったのはなぜかと聞かれたほどです」
ナビゲーションを利用し、ドライバーがエコドライブ技術を最大限に発揮できるようになると、すぐに成果が現われた。
現在の平均燃費は、大型、中型、小型すべてトラックメーカーのカタログ値を上回るという。
「燃料代は平成16年当時に比べ上がっていますが、省燃費効果で値上がり分を吸収できています。装置の導入に初期投資はかかっても、ランニング的に見ると費用対効果がいい。」
徹底したデータ主義
導入後、陣場社長は毎週のデータ分析を欠かさない。輸送品質の改善ポイントがデータで目に見えるようになり、自ら分析して必ず運転手にフィードバックしているという。
「いままでいろんな運動をしてきましたが、目標設定と評価が曖昧になり、なかなかうまくいかなかった。今回は目標値が明確に設定でき、結果をデータで分析できる。安全運転にもつながり、なおかつCO2も削減できる。」
科学的なエコドライブによる効果
こうして、全社一丸となっての取り組みが始まった。
「輸送品質といっても、中心になるのはドライバー。なかには辞めていく人もいましたが、この活動は私たち物流企業の未来を左右するものですから、気持ちをゆるめるわけにはいかない。」
今では全社平均でも99点というハイレベルなエコドライブが定着し、事故の減少、4割近いCO2削減効果といった、目に見える成果が上がっている。
主役はドライバー。
「達成感」が好循環を生む
「運転についていえば、大雑把な感覚的なものが数値に変わり、ドライバーの意識は着実に変わりました。データによる客観的な評価が可能になると、燃費が悪い日でも点数が高ければ、ベストなエコドライブができていたことがデータでわかる。客観的な点数評価なら運転手も納得してくれます。95点以上を目指せといっていますが、一度100点を取るとその「達成感」から、レベルの高いエコドライブが継続していきます。」
日々の運行での達成感が好循環を生む。このドライバーを主役に据えた取り組みが、全社的に根付いている。
「まだ道半ば。今後も安全で高い輸送品質を目指していきます」
日本でもトップクラスの環境意識の高いドライバーがそろう同社のハイレベルなエコドライブへの挑戦は続く。
東日本急行株式会社殿(東京都大田区)は、関東を中心に、東北、中国、九州の20カ所の営業拠点で運輸・倉庫業を展開する総合物流事業者として、家電、住宅建材、食品、精密機器など大手メーカーの輸送を手がけている。